高校生のとき、瀬戸大橋ができました。最新の日本地図を開くと本州と四国の間に広がる瀬戸内海に橋がわたっています。すごいな、こんな大きなものが作れるんだ。それが、土木をやりたいと思ったきっかけです。土木というのは、土や石、木や鉄を使って橋や道路、堤防やトンネルを作る建設工事のことです。
私が働いている事務所があるのは、奈良県の十津川村。十津川村には日本一のつり橋や温泉があるので、遊びに来た子どもたちも多いんじゃないでしょうか。
大阪市や奈良市など、大きな街に行くにはいろんな道がありますが、十津川村に行くには国道168号線という一本の道路しかありません。道はばが狭くて、くねくね曲がっています。台風や地震による土砂くずれや事故などで道路がふさがると、十津川村の人たちは生活できなくなります。
そういったことがないように、毎日、道路の様子を見守ること。道路をもっと安全に気持ちよく走れるように、道はばを広げたり、トンネルを作る計画を立てて、工事を建設会社の人に発注すること。工事現場に出むいて、工事が安全に、確実に進められているかどうかをチェックすること。それらが、私たち県庁の土木技術職員の仕事です。
土木工事に立ちあっていると、新しい技術や工法に出会います。たとえば、1車線を2車線に広げる工事。1車線の道路の横に、土砂をもって、ふみ固めて道はばを広げます。それが今までのやり方でしたが、今では土砂の代わりに発泡スチロールを使います。イラストは、発砲スチロールを使った工事の断面図をしめしたものです。
土砂をもった道路は、それ自体で何万トンもの重さになります。その上を、一日に何万台、何十万台という車が通行します。土砂の重さ+車の重量がかかった道路は、谷側へずり落ちるおそれがあります。でも、軽くてじょうぶな発砲スチロールなら大丈夫です。道路づくりに科学の知識やテクノロジーが生かされている。おもしろいと思いませんか。
土木の仕事をしたければ、建設会社や専門の設計事務所に就職するのがよい。最初はそう思っていました。でも、建設会社に就職したら、橋やトンネルを専門に作る技術者になる。それに対して、県庁や府庁に入れば、土木技術職員として、道路やトンネルだけでなく、公園や河川などいろんな分野の仕事にかかわれる。自分の得意な科学の知識や技術を生かす道は、ひとつではありません。いろんな可能性があります。
それに、私は奈良生まれの奈良育ち。大好きな奈良のために、自分の好きな科学知識が生かされるなんていいと思いませんか。
奈良県庁
奈良県五條土木事務所
大阪工業大学 大学院
工学研究科修了
小さいころから木を切ってものを作ったり、砂あそびをするのが大好きでした。木片や砂は、それだけではなんでもないものだけど、組み合わせたり、もりあげていくと、自動車や船、城の形になり、目に見える形になっていく。楽しくて、一日中遊んでいました。それが、今の仕事の原点かな。
7:30
十津川村の事務所は、宿泊施設をそなえていて、職員はここで生活しています。朝はゆっくり起床。食堂で朝ごはんを食べて、同じ建物の2階にある事務所に。
8:30
メールや連絡事項をチェック。自分で立てた一日のスケジュールにそって、仕事を開始。
9:00〜11:30
工事を依頼した建設会社のスタッフと打ち合わせ。工事の進み具合のチェック、スタッフのとったデジカメの写真と図面との照合などを行なう。
12:00〜12:45
事務所の食堂で昼食。メニューは調理スタッフが、栄養バランス、味を考えて日替わりで作ってくれる。
13:00〜14:30
受け持ちの工事現場に出向いて、予定通り工事が進んでいるか、現場の安全性は確保されているかなどを、現場監督とともにチェック。
15:00〜16:30
計画を進めているバイパス工事の設計に関して、設計事務所のスタッフとミーティング。周辺の住民に対する説明会の開催、意見の収集なども土木技術職員の仕事だ。
17:00〜17:30
明日のスケジュールの確認、次期工事の準備など。いそがしいときは、1〜2時間残業することもある。
19:00
一日の仕事を終え、食堂で他の職員とだんらんしながら夕食。