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教授紹介

倉田純一准教授
「TOVOC(トボク)」に会いにおいで。
関西大学 システム理工学部准教授 倉田純一
「10才くらいまでは無口で、ほとんどしゃべらなかった」と言う倉田先生。でも、担任の先生の指導により話すことに目覚め、11、12才ごろは噺家(はなしか)になりたいと思ったこともあるとか。小さいころから機械いじりが大好きで、モーターが回っているのを一日中ながめていても飽きなかった先生が、高3のとき目指したのは大学の機械工学科への進学。担任の先生は「数学の点が悪いし、キミは文系の方が向いている」と反対したが、「好きな分野に進みたい」と苦手だった数学を克服して機械工学科に進み、現在、大学で機械工学を教える准教授に。
ロボットに「色」をわからせるって、けっこうすごいこと。

体が不自由で、自分で思うように動けなくなったお年寄りや病人のために役立つことを願ってロボットをつくりました。例えば、「赤いのをとってきて」と言うと赤いものを、「青いのをとってきて」と言うと青いものをとってきます。「そこにあるポット、とってきておくれ。赤色だよ」と言うと、ちゃんととってきてくれるロボットがあると便利だと思いませんか?
 
「そんなこと、小さな子どもでもできるよ」と思うかもしれないけれど、赤と青を区別したり、リンゴと赤い服を同じ赤としてロボットに理解させるのは、けっこうすごいことです。ロボットの名前は「TOVOC(トボク)」。小学校に連れて行って、子どもたちにいろんな色紙をもたせて、「黄色い色紙をもった子どもを見つけて!」と命令すると、黄色い色紙をもった子どもを見分けて追いかけます。

人に合わせて変わる電動車いす。

私が取り組んでいるのは生活支援工学という学問。ロボットもそうですが、機械やコンピュータの技術を使って、体が不自由なお年寄りや体に障害をもつ人たちが、健康な人と同じように快適に、安全に暮らせるように手助けしようというのが生活支援工学です。
 
電動車いすを街中で見かけたら、よく観察してみてください。右にあった操縦レバーが左側に付け替えられていたり、操縦レバーに手が加えられています。右手が不自由なら、車いすを動かす操作部分は左側にあった方が便利だし、障害の程度や手の大きさの違いなどによって、にぎりやすく、力が入りやすいように、操縦レバーの大きさや形を変えているからです。
 
今まで、電動車いすはどれも同じ形でした。でも、人によって障害の程度も部位(障害をもっている身体の部分)も違いますから、電動車いすの形は一人ひとりに合わせて作り直さなければなりません。そのために、これからつくる電動車いすはどんなものがいいのかを、研究したり、開発したりしているのです。

大切なのは「失敗をおそれない」ことと 「コミュニケーション能力」。

私の研究室と、建築と材料の専門家の先生がいる研究室がいっしょになって、一軒の家を建てました。どんな家かというと、体が弱ったお年寄りや車いすで生活しなければならない人が、体に負担をかけることなく、元気に、快適に暮らせるようにいろんな工夫を盛り込んだ家です。キッチンはもちろん、バスやトイレの便器まで自由に高さを変えられるようになっていたり、いろんな照明を体験できる部屋があるなど、今までの住宅にはなかったものに触れることができるので、ぜひ、来て見てください。家の名前は「月が丘住宅」です。

 

「月が丘住宅」の見学が終わったら、研究室にも遊びに来てください。「トボク」にも会ってもらいたいし、学生たちがつくった電動車いすにも乗ってみてほしいです。でも、あっちこっちに、壊れた機械や古いモーターなど、ガラクタがいっぱいあるからちょっとびっくりするかもしれませんね(笑)。廃品の中には実験装置や電動車いすをつくるために使える部品がいっぱいあります。そのまま捨ててはもったいない。リサイクルすれば、地球環境にも貢献できますし、何より、新品を買うより安くすみます。それらを活かすためには、技術が必要なのです。
 
学生たちがものをつくったり、実験したりするのを見ると、いろんな失敗をしています。でも、私はだまって見ています。失敗したら、どうやってそれを解決したらいいかを、学生が自分で考えるようになってほしいと思います。私は学生たちよりたくさんの経験(失敗も成功も)をしていますから、どうすればいいかはたいてい分かります。でも簡単には教えません。自分で悩んで解決した経験は、きっと社会人になって大きな財産になります。
 
それと、学生たちに、研究室だけにとどまらず、外に出て行っていろんな人と会い、話すことをすすめています。電動車いすも住宅もトボクも、人に使ってもらうもの。人とのコミュニケーションがうまくできないと、人に喜んでもらえる機械も家もロボットもつくれません。そして、自分が開発したものを世に出そうとすると、電動車いすならそれを作っているメーカーに、自分がつくったものがどれだけ優れていて、障害をもつ人のために役立つかを売り込む必要があります。これからは、科学者もコミュニケーション能力を持たないといけませんね。

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