

英語が得意な人ならすぐわかるかもしれませんが、
苦手な人、小・中学生には少し難しいかもしれませんね。
これならどうでしょうか。

「Snail」という英語の単語は知らなくても、絵を見れば、誰でもわかりますよね。カタツムリです。文字というのはコミュニケーションの手段としてプアーですが、絵はフレンドリーで、見ただけで多くの人に理解してもらえます。
携帯電話、電子レンジ、TV、車など、コンピュータは今や私たちの身近なもの全てに入っています。携帯電話のメニューの画面を開いてみましょう。文字ではなく、色々な機能が絵と文字で示されています。文字の意味がわからなくても、絵を見れば「これはメールだ」「電話帳だ」とすぐわかりますね。
今、携帯電話やTVの画面に描かれている絵は2次元(縦×横)ですが、これを3次元(縦×横×高さ)で描いて、手で触れると、描かれているモノの感触が伝わったり、たたいたときの音が聞こえるようになったらどうでしょうか?さらにコミュニケーションは深まり、機械や装置は、人間に親しみやすいものになっていくはず。私の研究室で学生たちが取り組んでいるのは、そういった3次元の映像を使って、人にやさしい製品を開発できるシステムを作ることです。

例えば、学生たちと一緒に作った「バーチャル金魚すくい」もそのひとつ。
横に寝かせた液晶モニターの中を金魚が泳いでいます。マウスを握ると、画面に金魚すくいの網(紙を張ったもの)が出てきます。さあ、金魚すくいに挑戦です。
ゆっくり動かすと、金魚が逃げていきます。網の上に金魚が乗ると、マウスがブルブル震えます。金魚をすくうスピードが速すぎたり、網を立てすぎたりすると網が破れます。やり方は、縁日の金魚すくいと同じです。
なぜ、こんなものを作ったか。理由は2つあります。ひとつは、毎年、奈良県の大和郡山市で開かれている全日本金魚すくい選手権大会に、学生を参加させて優勝させること。バーチャル金魚すくいは、何回網が破れても、お金を気にせず挑戦できます(笑)。挑戦すればするほど、どうやったら金魚がじょうずにすくえるか学習して、腕が上がる。チャンピオンも夢ではありません。
もうひとつは、この装置を作ることで、モノにさわったときの感触や人間の動作、金魚の動きなどを、コンピュータ上で表現する技術や方法が身につくことです。
バーチャル金魚すくいのほか、バーチャル積み木というのも学生たちに作らせました。これは、積み木と同じように、上に乗せた積み木のバランスが悪いと崩れます。また、手で積み木を持ったときの感触も、本物に近い感じを実現しました。遊んでいるようですが(笑)、今学生たちが作っているものを応用すれば、これからの生活、教育などに役立つものが作れます。
飛行機の操縦シミュレーターや手術のシミュレーターも、学生たちが学び、身につけている技術や専門知識を応用したものです。シミュレーターというのは、実際に飛行機を操縦したり、手術をするかのように、コンピュータを使って訓練する装置です。例えば、実際の患者さんから撮った患部の画像をコンピュータグラフィックス(CG)で再現し、仮想のメスで何回もトレーニングして実際の手術にのぞめば、手術の成功率は格段に高くなりますよね。

今までは教科書でしたが、液晶モニターが小・中学校の机の上に並び、画面をさわると、3次元の恐竜が草原の上を地響きを立てて走ったり、鳴き声をあげたりするとよく理解できますよね。
私も中学・高校時代、重力の法則など、物理の公式を覚えるのに苦労しました(笑)。でも、目の前のモニターでガリレオがピサの斜塔の上から物を落す実験してみせてくれたら、重さに関係なく物は同じ速度で落ちるんだということがよくわかる。実験を目に見えるようにしてやれば、印象にも強く残るし、学習も楽しくなりますよね。今、学生たちと一緒にやっている私たちの研究や開発はそういった学習にも役立てられる。
「面白そう。ぼく、コンピュータゲームが大好きだから、(何に?→)向いているかも…」という、小・中学生がいるかもしれません。もし、そうなら、私はこう言いたいですね。
「外に出て遊びなさい。自然や生きものにもっとふれなさい!」
コンピュータを使って3次元の画像をつくるには、数学や理科が大切です。でも、それ以上に大切なのが、鳥はどうして飛べるのか、金魚はどうやって泳ぐのか、金魚すくいの名人はどうやってすくっているのかといった、さまざまなことに好奇心をもち観察すること。小・中学生のうちは、外に出て遊んでください。色々なものに、いっぱいふれてください。その体験が、将来きっと役立つはずです。