



高校生のとき、環境破壊の中で生物がどんどん地球上から失われていっている現状を知り、希少動物の保護に関わる仕事がしたいと強く思うようになりました。獣医師をしていた父の知り合いの大学教授に相談に行くと、「そんな仕事はない」「獣医師になれば希少動物の保護にたずさわれるというのは安易な考え」と、猛反対されました。
同じ頃、近畿大学の生物理工学部のことを知り、佐伯先生にも同じ相談をもちかけると、「甘いよ」と一喝(いっかつ)されました。でも、ここで体外受精やクローン技術を開発する研究者になれば、その技術を使って希少動物の保護活動に関わることもできると思い入学しました。
生物理工学部に興味を持ったのは、近畿大学の入谷先生がクローン技術を使ってマンモスの復活を試みているという記事を、大学を特集していたある冊子で知ったのがきっかけでした。
授業は楽しいし、勉強が少しも苦になりません。遺伝子工学科の学生は「へえ、人間ってこんなふうに進化してるんや」「いろんな生物のいいとこ取りしてできてんや」とか、人間や生命の誕生、進化の謎を深く知るたびに驚いたり、新たに発見したりと、心から楽しみながら授業や実験に取り組んでいます。
私たちの学科に入学してきた学生は、獣医師になりたかった人、遺伝子に興味を持った人、医師や薬剤師を目指したことがある人の3つに分類できそうです。いずれも、人間や動物の命に関わる仕事がしたい、人間や動物の生命について深く学びたいという強い気持ちを持っている人ばかりです。



今、卒業研究で取り組んでいるのは「クローン個体作出の効率アップ」です。やさしく言えば、脂の質がいい、よりおいしい肉が提供できるクローン牛、クローンブタを効率的につくるための研究です。
4年生になって研究者の道を進むか、就職するか決めなければならなくなりました。獣医師を目指して他大学の獣医学部に編入したり、大学院に進学したり、ここで学んだ遺伝子組換えの技術を活かすために産婦人科に進んで、不妊で悩む女性の体外受精の治療にあたったりと、先輩や仲間の進路はさまざまです。しかし、私は就職を選びました。
就職先が内定しました。「世界から飢餓をなくす」という大きな目標を掲げ、そのために世界No.1を目指し、世界中の人々においしい食を提供したいというビジョンを持つ外食産業の大手です。その夢に、私も参加したかったからです。希少動物の保護活動は、働きながらボランティア活動で取り組みます。