


「化学工学を学んでいます」というと、「?」って顔をする人が多いと思います。ビーカーの中で新しい物質をつくるのがいわゆる「応用化学」で、それを実際に大量につくるための装置をつくるのが「化学工学」です。実験室のビーカーの中でどんなにすごい物質ができたとしても、同じ物が大量に、できるだけ安く、安定してつくれなければ世の中の役には立ちません。
今、ぼくが大学院で取り組んでいるのは廃酸溶液のリサイクルです。半導体の工場では、できあがった製品を洗浄するためにフロンや硝酸、フッ酸など毒性のある酸を使います。一度使ったフロンや酸は無毒化して廃液として捨てていましたが、捨てるのではなく自然にあるフッ素などの物質に戻して再利用できる化学プラントです。



大学に入って春休みや夏休みを利用して、中国、台湾、タイなどアジアの国々を旅行しました。そのとき、排気ガスの多さや河川の汚れのひどさに驚かされました。日本の多くのメーカーはアジア諸国に工場を立て、そこで生産を始めています。また、アジアが成長する中で、各国で膨大な廃棄物が出てきています。そういったことを実際に目の当たりにして、改めて自分が取り組んでいる分野の大切さを実感しました。
今、ぼくは、廃棄物をリサイクルできる化学プラントの設計に携わる技術者になりたいという、明確な目標を持っています。でも、将来の目標がはっきりしてきたのは大学に入ってからです。小学生のとき顕微鏡を買ってもらい、微生物を観察して以来、科学に興味を持つようになりました。ビーカーやフラスコを使った化学実験も好きでした。高校に進学してからも物理や化学が好きだったので(文系の科目が苦手だったので)、将来は科学分野で活躍できる技術者になりたいと思っていました。でも、そのときは漠然としていました。
将来の目標は早いほどいいけれど、大学に入ってからでも遅くはないと思います。それと、廃棄物の処理の問題はこれからどんどん重要になってくる分野です。もし、興味があればこの分野を目指すのもいいと思いますね。